Secondary User Verification とは、2 つ目の要素を使って音声コマンドのセキュリティを強化する仕組みです。Secondary User Verification を使用することで、セキュリティ カメラの電源を切る、ドアを開けるといった特定のアクションのセキュリティが高まります。Secondary User Verification は特定のデバイス トレイトには結び付けられていないため、いつ Google Assistant にチャレンジを発行させるかはデベロッパーが決定できます。たとえば、セキュリティ カメラの OnOff トレイトではチャレンジを発行し、照明の OnOff トレイトではチャレンジを発行しないようにすることができます。また、同じアクションにおいて、ある特定の状況に限り Assistant にチャレンジを発行させることもできます。たとえば、NFC キーフォブが近くにないドアを開ける場合はチャレンジ リクエストを発行し、キーフォブが存在するドアを開ける場合はチャレンジを発行しないよう Assistant に要求できます。
Assistant は、明示的な確認応答と個人識別番号(PIN)の 2 種類のチャレンジを発行できます。チャレンジを発行すると、Assistant からアクションに返される QUERY
と EXECUTE
のインテントにチャレンジ ブロックが追加され、challengeNeeded
エラー レスポンスが受け入れられます。Assistant は、チャレンジ ブロックにチャレンジ データを格納したインテント リクエストをアクションに返します。このチャレンジ データを検証して、ユーザーから提供されたセキュリティ レスポンスが正しいかどうかを判断できます。
Assistant では、ユーザーへのチャレンジは対話として行われますが、音声非対応のサーフェスで Assistant を使用している場合、PIN の入力と確認は画面上で行われます。
サポートされているデバイスタイプ
Secondary User Verification はすべてのデバイスタイプでサポートされています。
サポートされているデバイス トレイト
Secondary User Verification はすべてのデバイス トレイトでサポートされています。
サポートされているチャレンジの種類
Secondary User Verification がサポートされているチャレンジの種類は以下のとおりです。
- チャレンジなし - Secondary User Verification チャレンジを使用しないリクエストとレスポンス。
- ackNeeded - 明示的な確認応答(はい / いいえ)を要求する Secondary User Verification。レスポンス フィードバックとしてトレイトの状態を使用することもできます。このチャレンジ タイプをセキュリティ デバイスおよびセキュリティ トレイトに使用することはおすすめしません。
- pinNeeded - 個人識別番号(PIN)を要求する Secondary User Verification。セキュリティ デバイスやセキュリティ トレイトに最適です。
チャレンジなし
以下の例は、チャレンジを使用せずに照明を点灯させる EXECUTE
リクエストとレスポンスを示しています。
ユーザー | 照明をつけて。 |
Google Assistant | はい、3 つの照明をつけます。 |
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "inputs": [{ "intent": "action.devices.EXECUTE", "payload": { "commands": [{ "devices": [{ "id": "123" }], "execution": [{ "command": "action.devices.commands.OnOff", "params": { "on": true } }] }] } }] }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "payload": { "commands": [{ "ids": ["123"], "status": "SUCCESS", "states": { "on": true, "online": true } }] } }
ackNeeded
トレイトの複数の状態または単純な確認応答を使用できる二次的なユーザー認証。
ackNeeded
チャレンジには次の種類があります。
単純な ackNeeded
以下の例は、照明を暗くするために ackNeeded
チャレンジを発行してその確認を得る単純なリクエストとレスポンスを示します。
ユーザー | リビングの照明を暗くして。 |
Google Assistant | リビングの照明を暗くします。よろしいですか? |
ユーザー | はい。 |
Google Assistant | リビングの照明を暗くします。 |
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "inputs": [{ "intent": "action.devices.EXECUTE", "payload": { "commands": [{ "devices": [{ "id": "123" }], "execution": [{ "command": "action.devices.commands.BrightnessAbsolute", "params": { "brightness": 12 } }] }] } }] }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "payload": { "commands": [{ "ids": ["123"], "status": "ERROR", "errorCode": "challengeNeeded", "challengeNeeded": { "type": "ackNeeded" } }] } }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "inputs": [{ "intent": "action.devices.EXECUTE", "payload": { "commands": [{ "devices": [{ "id": "123" }], "execution": [{ "command": "action.devices.commands.BrightnessAbsolute", "params": { "brightness": 12 }, "challenge": { "ack": true } }] }] } }] }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "payload": { "commands": [{ "ids": ["123"], "status": "SUCCESS" }] } }
トレイトの状態を伴う ackNeeded
トレイトの状態を使用できる二次的なユーザー認証。たとえば、TemperatureSetting トレイトを使用するときに thermostatMode
と thermostatTemperatureSetpoint
の両方が設定されている場合、Assistant は「エアコンの暖房を 28 度に設定してもよろしいですか?」と確認できます。
また、リクエストに基づいて Assistant に特定のアクションを実行させるために、レスポンスに状態を含めることもできます。
以下のトレイトとその状態は、トレイトの状態を伴う ackNeeded
をサポートします。トレイトだけが記載されている場合は、そのすべての状態がサポートされていることを示します。
- ArmDisarm
currentArmLevel
currentStatusReport
- Fill
- LockUnlock
- OnOff
on
- OpenClose
- Scene
- TemperatureSetting
thermostatMode
thermostatTemperatureSetpoint
thermostatTemperatureSetpointHigh
thermostatTemperatureSetpointLow
以下の例は、トレイトの状態を使用した ackNeeded
チャレンジでのリクエストとレスポンスを示しています。エアコンモードを暖房に切り替え、温度を 28 度に設定します。レスポンスで状態として thermostatTemperatureSetpoint
= 28
が返されたため、Assistant は暖房をオンにして温度を 28 度に設定してよいかどうかの確認をユーザーに求めます。
ユーザー | エアコンを暖房に設定して。 |
Google Assistant | エアコンの暖房を 28 度に設定してもよろしいですか? |
ユーザー | はい。 |
Google Assistant | エアコンの暖房を 28 度に設定します。 |
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "inputs": [{ "intent": "action.devices.EXECUTE", "payload": { "commands": [{ "devices": [{ "id": "123" }], "execution": [{ "command": "action.devices.commands.TemperatureSetting", "params": { "thermostatMode": "heat" } }] }] } }] }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "payload": { "commands": [{ "ids": ["123"], "status": "ERROR", "states": { "thermostatMode": "heat", "thermostatTemperatureSetpoint": 28 }, "errorCode": "challengeNeeded", "challengeNeeded": { "type": "ackNeeded" } }] } }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "inputs": [{ "intent": "action.devices.EXECUTE", "payload": { "commands": [{ "devices": [{ "id": "123" }], "execution": [{ "command": "action.devices.commands.TemperatureSetting", "params": { "thermostatMode": "heat" }, "challenge": { "ack": true } }] }] } }] }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "payload": { "commands": [{ "ids": ["123"], "status": "SUCCESS", "states": { "thermostatMode": "heat", "thermostatTemperatureSetpoint": 28 } }] } }
pinNeeded
セキュリティ デバイスには pinNeeded
チャレンジを使用することをおすすめします。
以下の例は、pinNeeded
チャレンジを使用した最初のリクエストとレスポンスを示しています。この例では、レスポンスに pinNeeded
チャレンジが含まれているため、Assistant は PIN を要求します。この時点で、ユーザーは正しくない PIN または有効な PIN を提供する可能性があります。
正しくない PIN が提供された場合と有効な PIN が提供された場合のリクエストとレスポンスの例:
ユーザー | ドアを開けて。 |
Google Assistant | セキュリティ コードを教えてください。 |
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "inputs": [{ "intent": "action.devices.EXECUTE", "payload": { "commands": [{ "devices": [{ "id": "123" }], "execution": [{ "command": "action.devices.commands.LockUnlock", "params": { "lock": false } }] }] } }] }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "payload": { "commands": [{ "ids": ["123"], "status": "ERROR", "errorCode": "challengeNeeded", "challengeNeeded": { "type": "pinNeeded" } }] } }
PIN が正しくありません
以下の例は、challengeFailedPinNeeded
チャレンジを使用したリクエストとレスポンスを示しています。このチャレンジは、最初の pinNeeded
チャレンジが失敗した後に使用します。
challengeFailedPinNeeded
タイプが返されると、Assistant はセキュリティ コードをもう一度要求します。ユーザーが何度も失敗した場合は、tooManyFailedAttempts
エラー レスポンスを返すことができます。エラー レスポンスをご覧ください。
ユーザー | 333222 |
Google Assistant | セキュリティ コードが正しくありません。 セキュリティ コードを教えてください。 |
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "inputs": [{ "intent": "action.devices.EXECUTE", "payload": { "commands": [{ "devices": [{ "id": "123" }], "execution": [{ "command": "action.devices.commands.LockUnlock", "params": { "lock": false }, "challenge": { "pin": "333222" } }] }] } }] }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "payload": { "commands": [{ "ids": ["123"], "status": "ERROR", "errorCode": "challengeNeeded", "challengeNeeded": { "type": "challengeFailedPinNeeded" } }] } }
有効な PIN
以下の例は、有効な PIN が提供された場合のリクエストとレスポンスを示します。
ユーザー | 333444 |
Google Assistant | ドアのロックを解除します。 |
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "inputs": [{ "intent": "action.devices.EXECUTE", "payload": { "commands": [{ "devices": [{ "id": "123" }], "execution": [{ "command": "action.devices.commands.LockUnlock", "params": { "lock": false }, "challenge": { "pin": "333444" } }] }] } }] }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "payload": { "commands": [{ "ids": ["123"], "status": "SUCCESS", "states": { "isLocked": false, "isJammed": false } }] } }
ユーザー | リビングの照明を暗くして。 |
Google Assistant | セキュリティ コードを教えてください。 |
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "inputs": [{ "intent": "action.devices.EXECUTE", "payload": { "commands": [{ "devices": [{ "id": "123" }], "execution": [{ "command": "action.devices.commands.BrightnessAbsolute", "params": { "brightness": 12 } }] }] } }] }
{ "requestId": "ff36a3cc-ec34-11e6-b1a0-64510650abcf", "payload": { "commands": [{ "ids": ["123"], "status": "ERROR", "errorCode": "challengeNeeded", "challengeNeeded": { "type": "pinNeeded" } }] } }
エラー レスポンス
以下は、レスポンスで返される可能性があるエラーコードです。
- tooManyFailedAttempts - 失敗回数が多すぎます。デバイスのアプリでアクションを完了してください。
- pinIncorrect - セキュリティ コードが正しくありません。
- userCancelled - OK
エラーと例外の全リストをご覧ください。